計測画面でページやスクリーンの表示が確認できず、原因が分からず困っていませんか。
GA4でデータが反映されない原因はタグ実装ミスや測定IDの誤設定、GTMの配信、プロパティ側のフィルタ、ブラウザ依存まで多岐にわたります。
この記事では優先度の高いチェックリストを示し、短時間で原因を切り分けられる手順を実践的に解説します。
タグ実装の詳細、GTM運用、GA4の設定やデータ制御、ユーザー環境の確認といった章立てで順に確認できます。
まずはチェックリストから順に試して、本文で具体的な対処法を確認していきましょう。
GA4でページとスクリーンが表示されないときのチェックリスト
GA4でページビューやスクリーン表示が見えないときは原因が多岐にわたるため、体系的に確認することが近道です。
本チェックリストはタグ実装からGA4側の設定、ユーザー環境まで幅広くカバーします。
タグ実装
まずはタグが実際に配信され、ブラウザで読み込まれているかを確認してください。
開発者ツールのNetworkやConsoleでgtagやGTMのリクエストが成功しているかを見ます。
以下は実務でチェックすべき項目です
- gtag.jsの設置確認
- GTMコンテナの配信確認
- タグの重複配信確認
- スクリプトの読み込み順
- 遅延読み込みの影響
測定ID
測定IDが正しいプロパティのものを使っているかを確かめてください。
IDの一文字違いで全く別のプロパティに送信しているケースは意外と多いです。
タグ内の測定IDとGA4のデータストリームに表示されているIDを突き合わせてください。
複数の環境(ステージングや本番)を運用している場合は環境ごとのID切り替え漏れも確認します。
イベント設定
ページビューはページごとに自動で収集される設定になっているかをまず確認します。
Enhanced Measurementがオフになっているとpage_viewが計測されないことがあります。
カスタムイベントでpage_view相当の処理をしている場合はそのイベント名とパラメータを検証してください。
イベントがフィルタや拡張設定で上書きされている可能性もあるため注意が必要です。
データストリーム
データストリームがWeb用かアプリ用かを誤って設定しているケースがありますので確認してください。
ストリームの設定で計測対象のドメインや運用環境が正しく登録されているかを見ます。
ストリームの状態が一時停止や削除済みでないかもチェックしてください。
フィルタと除外
プロパティで設定したフィルタや内部トラフィック除外によりデータが落ちていることがあります。
除外設定は適用タイミングや条件を誤ると本来のユーザーデータまで除外してしまうため慎重に確認してください。
| フィルタタイプ | 想定される影響 |
|---|---|
| 内部トラフィック除外 | 社内アクセスの除外 |
| イベント除外フィルタ | 特定イベントの消失 |
| IPアドレス除外 | 指定IPからの計測停止 |
表の設定項目を一つずつ確認し、該当する条件がないかを洗い出してください。
データしきい値
GA4にはプライバシー保護のために集計が閾値で制限される機能が存在します。
特にユーザー属性に関する少数データはしきい値により非表示になることがあります。
しきい値の影響で一部のセグメントが空になる可能性を念頭に置いてください。
まずは期間を広げてデータ量を増やすか、しきい値の条件に該当していないかを確認します。
プロパティ権限
そもそも該当プロパティやデータストリームを閲覧する権限が付与されているかを確認してください。
ロールがViewerのみで設定やデバッグ情報が見られないことがありますので管理者に依頼する必要があるかもしれません。
アカウントのプロジェクトとプロパティの紐付けミスがないかも併せて確認してください。
タグ実装の詳細チェック
タグ実装はGA4でページやスクリーンが計測されない原因で最も多い部分です。
ここでは具体的なポイントを順に確認し、見落としやすい落とし穴を防ぎます。
gtag.js
gtag.jsがページに正しく設置されているかをまず確認してください。
headタグ内に基本スニペットがあり、測定IDが正しく記述されているかをチェックします。
スニペットが複数回読み込まれていないかも重要です、重複するとイベントが2重送信される原因になります。
ブラウザの開発者ツールでNetworkタブを開き、collectやg/collectなどのリクエストが発生しているかを確認してください。
コンソールにgtag関連のエラーが出ていないかも見逃さないでください。
GTMコンテナ
Googleタグマネージャーを使っている場合は、GTMコンテナが公開済みで最新のバージョンが配信されているか確認してください。
ページソース上にGTMのスニペットが存在するか、コンテナIDが想定どおりかをチェックします。
GTMのプレビューモードを使い、タグが想定どおりに発火しているかを実際のページで確認してください。
コンテナ内のGA4タグが正しい設定で、発火条件が適切に設定されているかも見ておきます。
測定ID
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 測定IDの形式 | Gから始まるID |
| プロパティ一致 | GA4プロパティと同一 |
| タグ内反映 | gtagとGTMで一致 |
測定IDがGから始まるGA4用のものかどうかはよくある見落としです。
ユニバーサルアナリティクスのUA-から始まるIDを誤って使っているとデータは流れませんので注意してください。
gtagやGTM両方で設定している場合は、両者のIDが一致していることを必ず確認してください。
タグ配置
タグを配置する位置で計測の安定性が変わりますので注意が必要です。
- head内の基本スニペット
- body直後のGTMスニペット
- 重複設置の禁止
- 外部スクリプトとの依存関係確認
headに置くとページ読み込み初期から計測できますので、できるだけhead内に設置してください。
GTMを利用する場合はbody直後に配置する推奨パターンがあり、これに従うことで安定した発火が期待できます。
複数箇所に同じタグがあるとデータが重複しますから、ソースを隅々まで確認して消し漏れがないようにしてください。
遅延読み込み
最近はパフォーマンス対策でスクリプトを遅延読み込みするケースが増えています。
遅延読み込みだとページビューがユーザー操作後まで送信されないことがあるため、計測漏れに繋がる可能性があります。
シングルページアプリケーションではhistory変更や仮想ページ遷移に合わせて手動でpage_viewを送る設定が必要になります。
lazy loadやdeferを使う場合は、読み込みタイミングを調整してタグが確実に初回レンダー時に評価されるようにしてください。
テストとしてネットワークスロットルやモバイル環境での動作確認を行い、期待どおりにイベントが送られるかを検証してください。
GTM運用と配信確認
GTMを使ったタグ配信の問題は、設定の小さなズレや運用上の落とし穴が原因で起きることが多いです。
ここではプレビュー機能からログ確認まで、実務で使える確認手順を順序立てて解説いたします。
原因特定を早めることで、GA4の「ページとスクリーンが表示されない」問題を効率よく解決できます。
プレビュー
まずはGTMのプレビューモードを使い、ブラウザ上でタグの発火状況を確認してください。
プレビューで確認すべきポイントを絞ると、原因の切り分けが早くなります。
- タグ発火の確認
- イベント名の確認
- 測定IDの一致
- トリガー条件の評価
- dataLayerの内容確認
プレビュー画面では、タグ発火の時系列とdataLayerの中身を対照してください。
イベントが期待どおりに発火しない場合は、まずトリガー条件と変数の値を疑うと良いです。
タグ配信ログ
実際の配信ログは問題の根本を示す重要な手がかりです。
ネットワークタブやサーバーログで、Measurement Protocolやcollectの送信結果を確認してください。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| リクエストURL | 測定IDが含まれているか |
| レスポンスコード | 200系の応答かどうか |
| ペイロード | イベント名とパラメータの存在 |
ブラウザの開発者ツールで送信されたリクエストを確かめると、不一致やエラーが分かります。
サーバーサイドでの配信がある場合は、双方のログを突き合わせて重複や欠落を検出してください。
トリガー
トリガー条件の誤設定は、タグが発火しない代表的な原因です。
ページURL、クリック、フォーム送信など、条件式に不要なスペースや正規表現のミスが含まれていないか確認してください。
また発火順序や優先度の設定により、他タグの影響を受けている可能性もあります。
特に例外トリガーが入っている場合は、その条件で想定外にブロックされていないか注意してください。
変数
変数の値が想定どおりでないと、トリガーが動作せずにイベントが送信されません。
プレビューでdataLayer変数やDOM変数の値を個別に確認し、型や値の違いをチェックしてください。
カスタムJavaScript変数を使っている場合は、エラーが出ていないかコンソールログで確認することをおすすめします。
変数名のスペルや大文字小文字の違いも、見落としやすいポイントです。
重複配信
同じイベントが複数送信されると、計測精度が著しく低下します。
重複の原因は、ページに複数のタグが混在していることや、SPAでの遷移時に同一イベントが繰り返されることなどが考えられます。
対策としては、トリガー条件に発火回数の制御を追加したり、dataLayer側でフラグを持たせて一度だけ送信する方法が有効です。
またサーバーサイドとクライアントサイドで同じイベントを送っている場合は、片方に統一するかIDで判定して重複を除外してください。
GA4側の設定とデータ制御確認
GA4でデータが欠落していると感じたら、まずはプロパティ側の設定を確認するのが近道です。
タグ実装だけでなく、データストリームや収集設定、除外ルールなどが影響するため、順を追ってチェックしてください。
データストリーム設定
データストリームが正しいプロパティに紐づいているかを最初に確認してください。
ウェブとアプリでストリームを混同しているケースは意外と多く、測定IDやプラットフォームの違いが原因でデータが来ていないことがあります。
ストリーム設定の中にある「拡張計測(Enhanced Measurement)」が有効かどうかもチェックしてください。
ページビューやスクリーンビューが自動で収集されない場合は、この拡張計測の設定がオフになっている可能性があります。
DebugViewでリアルタイムにイベントが届いているかを確かめて、ストリーム側に問題がないかを早めに切り分けましょう。
イベント収集設定
イベントの定義やカスタムイベントの登録状況を確認してください。
標準イベントが自動で収集されているか、カスタムイベントの命名に誤りがないかを検証することが重要です。
- page_view
- screen_view
- scroll
- click
- custom_event_name
イベントが正しく送信されているのにレポートに現れない場合は、イベント名の一貫性やパラメータの付与方法を再確認してください。
内部IP除外
社内のアクセスを除外する設定が影響していることがあります。
データストリームの「データフィルタ」や管理画面のトラフィック除外設定で、内部IP範囲が過度に広く設定されていないか確認してください。
IPの指定ミスやプレフィックス記述の間違いで、一般ユーザーまで除外してしまうことがあるため注意が必要です。
テスト用IPだけを除外する形にして、DebugViewで除外の挙動を確認してから本番に反映すると安全です。
データしきい値
GA4にはプロパティの集計や探索で適用されるデータしきい値が存在します。
しきい値は特に少数のユーザーに対する属性やデータの表示制限に繋がるので、該当レポートでサンプルが落ちていないか確認してください。
| しきい値項目 | 影響 |
|---|---|
| ユーザー属性の絞り込み | 個人を特定しないための制限 |
| 少数イベントの集計 | 値の非表示や集計省略 |
| 探索レポートの行数 | 表示されない行が発生 |
しきい値の影響はプロパティ単位で異なるため、該当するレポートを複数の条件で検証して原因を特定してください。
データ保持期間
イベントデータの保持期間が短く設定されていると、過去のユーザーデータが失われます。
ユーザープロパティやイベントレベルでの保持期間を見直して、分析に必要な期間が確保されているか確認してください。
保持期間を変更した場合、新しい設定は変更後のデータに対して適用されるため、過去データの回復はできない点にご注意ください。
BigQueryへのエクスポートを設定しておくと、GA4側の保持に左右されない長期保存が可能になります。
ユーザー環境とブラウザ依存の確認
まずはユーザー側の環境やブラウザの設定でGA4の計測が阻害されていないかを確認することが重要です。
自社で再現できない問題は、環境依存の可能性が高いため、手順を分けて絞り込んでいきます。
ブラウザ拡張
ブラウザ拡張は最も手軽に導入されるため、計測を遮断する原因になりやすいです。
疑わしい場合は拡張機能をすべて無効にしたブラウザで計測を確認してください。
別プロファイルやシークレットモードでの再確認も有効です。
- AdBlock系
- uBlock Origin
- Privacy Badger
- Ghostery
- 拡張機能によるCookieブロック
上記のような拡張を無効化して計測が復活するかを確認し、問題の切り分けを行ってください。
追跡防止設定
ブラウザの追跡防止機能は拡張と異なり、標準で有効になっているケースがあります。
SafariのITPやFirefoxのEnhanced Tracking Protectionはサードパーティのトラッキングを制限します。
Chromeでも将来的なサードパーティCookie制限やプライバシーサンドボックスの影響が考えられます。
まずは別のブラウザやバージョンで比較し、追跡防止が動作しているか確認してください。
ネットワークタブでgoogle-analyticsやg/collectへのリクエストがブロックされていないかを見ると原因特定が速まります。
Cookie設定
Cookieの受け入れ設定が原因でセッションやユーザー識別が失われることがあります。
特にSameSiteやSecureフラグ、サードパーティCookieの可否は重要なチェックポイントです。
gtagやGTMでcookie_flagsを設定している場合は、正しく属性が付与されているか確かめてください。
ブラウザのApplicationタブで_gaや_gidなどのCookieが発行されているかを確認すると状況がわかります。
同意管理ツールを導入している場合は、同意フローが計測前に遮断していないかも確認してください。
広告ブロック
広告ブロックは拡張と似ていますが、リストベースで特定のドメインをブロックする点が異なります。
google-analytics.comやgoogletagmanager.comがブロック対象になっていると計測が止まります。
サイトをホワイトリストに登録して計測が戻るかを試すと効果的です。
また、一部の企業ネットワークでは広告対策としてプロキシレベルでブロックされていることもあります。
モバイルSDK
モバイルアプリではブラウザとは別にSDKやプラットフォーム依存の問題が発生します。
まずはSDKの初期化が正しく行われているか、Measurement IDやFirebaseの設定を確認してください。
以下は主要プラットフォームでの確認ポイントを簡潔にまとめた表です。
| プラットフォーム | 確認ポイント |
|---|---|
| iOS | 初期化とMeasurementID |
| Android | Firebase設定と権限 |
| React Native | ネイティブブリッジの初期化漏れ |
| Unity | SDKバージョン互換性 |
加えて、iOSではApp Tracking Transparencyの許可状況が計測に直結します。
ユーザーがトラッキングを拒否するとIDFA利用が制限されるため、イベント送信やユーザー紐付けに影響します。
ネットワークキャプチャでanalyticsのエンドポイントに到達しているか確認すると、クライアント側の問題かサーバー側かを判別できます。
ハイブリッドアプリではWebViewのCookie設定やブリッジ実装の不整合もよくある原因です。
初動で行う優先対応
まずは優先度の高い項目を手早く確認します。
タグが意図したページに設置されているか、測定IDが一致しているかを確認してください。
GTMを利用している場合はプレビューモードでタグ配信を検証し、期待どおりに発火しているかを確認します。
GA4のリアルタイムレポートでページビューやスクリーンビューが届いているか、イベントが発生しているかを確認してください。
内部トラフィック除外やフィルタで誤ってデータが除外されていないか、データストリーム設定もチェックします。
最後にブラウザ拡張や広告ブロック、Cookie設定などユーザー環境依存の要因をテストして影響を切り分けてください。
これらを順に確認すれば、多くの表示問題は短時間で特定できます。


