「GA4移行でやることが多くて、どこから手を付けたらいいのかわからない…」と感じていませんか。
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)からの切り替えは、単なるツールの変更にとどまらず、データ管理や設定方法も大きく異なるため、戸惑う方も少なくありません。
しかし、正しいステップと注意点を理解すれば、GA4移行でやることも無駄なくスムーズに進められます。
本記事では、GA4移行にあたってやるべき全体像や具体的な手順、よくあるトラブルや注意点まで丁寧に解説します。
これからGA4への移行を検討している方、成功させたい方に役立つ内容ですので、ぜひ続きをご覧ください。
GA4移行でやることの全体像と具体的なステップ
GA4への移行は、従来のユニバーサルアナリティクス(UA)から、Googleアナリティクス4(GA4)への切り替え作業を指します。
このプロセスにはいくつかの重要なステップがあり、順番に正しく進めることで移行時のトラブルを防ぎます。
各ステップでやるべきことをしっかりおさえて、GA4で効果的なサイト解析をスタートできるようにしましょう。
GA4移行前のデータと目標の整理
GA4への移行作業を始める前に、まず現在のUAで計測している指標やKPI、トラッキング対象の整理が重要です。
サイト分析で何を重視しており、どのデータをどのように活用していたかを洗い出しましょう。
次のような観点で整理していくのがポイントです。
- UAで設定していた目標(コンバージョンポイント)
- イベントトラッキング(ボタンのクリック、ファイルのダウンロード等)
- カスタムディメンションやカスタム指標
- レポートやダッシュボードの重要項目
これにより、GA4で新たに設定すべき項目や不足の確認がしやすくなります。
GA4プロパティの新規作成
UAとは別にGA4用のプロパティの新規作成が必要です。
Googleアナリティクスの管理画面から「プロパティを作成」を選択し、ガイダンスに従って必要な情報を入力します。
新しいGA4プロパティは、サイトの情報収集の基盤になり、UAとは独立してデータを計測します。
この段階でデータストリーム(ウェブやアプリのデータ送信元)も設定します。
正しいURLや名前を登録して、誤記入に注意しましょう。
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| プロパティ名 | GA4でわかりやすい名前を付ける |
| データストリーム | ウェブサイトやアプリの情報入力 |
| タイムゾーン・通貨 | 正しい地域・通貨を選択 |
タグの設置と設定(GTM・直接設置)
GA4にデータを送信するためには、新しいタグ(トラッキングコード)が必要です。
タグの設置には「Googleタグマネージャー(GTM)を使う方法」と「直接サイトに設置する方法」があります。
GTMを利用すれば、今後のイベント追加や設定変更がしやすくなります。
設置後は正しい場所にタグが入っているか、重複していないかを確認しましょう。
場合によっては既存のUAタグと並行稼働させる期間を設けて、段階的に移行を行う方法もあります。
イベント・コンバージョン設定の見直し
UAとGA4ではイベントやコンバージョンの考え方や仕様が異なります。
UAでトラッキングしていたイベントや目標に対応する形で、GA4でも同様の設定が必要です。
既定のイベント(ページビュー、スクロールなど)に加えて、独自イベントを追加したい場合はGTM経由で設定します。
GA4では「カスタムイベント」を作成し、指定したイベントを「コンバージョン」に昇格させることで目標計測ができます。
計測の動作確認
全ての設定が終わったら、GA4でデータが正しく取得できているか必ず確認しましょう。
リアルタイム計測やデバッグビューツールを使って、イベントやページビューなどが反映されているかテストします。
確認の際はPC・スマートフォン両方のデバイスで検証するのがおすすめです。
想定したデータが取得できていなければ、タグやイベント設定を見直しましょう。
UAからのデータ保存・エクスポート
UAのサービス提供終了後は、従来の分析データにアクセスできなくなります。
重要なデータは移行前に必ずエクスポートやバックアップをしておきましょう。
エクスポート方法はCSVやExcel形式でダウンロード、またはGoogleシートへの出力などがあります。
保存するデータとしては、トラフィック推移、主要指標、コンバージョン数などが挙げられます。
カスタムレポートや連携ツールの再設定
GA4移行後は、過去に利用していたカスタムレポートや各種連携ツール(Googleデータポータル、広告系ツールなど)の設定も見直す必要があります。
GA4では従来のUA用のデータが利用できなくなっている場合が多いので、新たにGA4プロパティを紐づけしなおす必要があります。
また、カスタムレポートの作り方もGA4とUAでは仕様が異なるので、既存レポートを新バージョンで再構築することをおすすめします。
APIで取得している場合も、GA4用のエンドポイントや認証方法への変更を忘れずに行いましょう。
GA4へ移行する際の注意点
GoogleアナリティクスのUA(ユニバーサルアナリティクス)からGA4(Googleアナリティクス4)への移行では、これまでと違う仕様や注意点が多く存在します。
スムーズなGA4移行を実現するために、事前に確認しておきたいポイントをまとめます。
計測指標や数値の違い
GA4とUAでは、データの測定方法や用語が大きく異なります。
例えば、UAにあった「セッション」や「ユーザー」の定義がGA4では変更されています。そのため、同じサイトでも表示される数値やグラフが一致しません。
GA4移行後、レポートの比較を行う際は、この基準の違いを理解することが重要です。
| 項目 | UA(旧アナリティクス) | GA4 |
|---|---|---|
| セッション | タイムゾーン切り替えで終了 | 30分間の非アクティブで終了 |
| イベント | カテゴリー/アクション/ラベル形式 | 全てイベントとして記録 |
| ページビュー | ページ表示数のみ | ページ/スクリーンビューとして表示 |
UAデータの自動移行不可
UAとGA4はシステムが異なるため、従来のデータが自動でGA4に引き継がれることはありません。
これまでUAで計測されていた数値やレポートは、GA4に直接移行されない点に注意しましょう。
- これまでのデータは自分でバックアップが必要
- GA4の導入は早いほど長い期間のデータ蓄積が可能
- レポートや目標設定もGA4用に再構築が必要
自動で記録が移ると勘違いしやすいため、手動でのデータ管理が重要です。
過去データの保存と閲覧期間
UAのサービス終了後は、過去のデータを閲覧できる期間が限られています。
Googleからは、UAのデータ閲覧期限がアナウンスされています。期限を過ぎると、データの確認やダウンロードができなくなります。
必要なデータは早めにエクスポートし、ローカルやクラウドに保存しておくと安心です。
CSVやExcel形式で出力するほか、Google BigQueryなどの連携サービスも活用可能です。
移行作業のタイミング
GA4移行はできるだけ早い段階で行うのが理想です。
理由は、GA4のデータ蓄積がゼロからスタートするため、早く設定すればその分だけ多くのデータが得られるからです。
また、UAとGA4を並行して設置することで、計測結果を比較しながら運用できます。
年度末やキャンペーン開始など、サイトの変化点の前に移行作業をすすめるのがおすすめです。
GA4移行後にやるべき運用初期設定
GA4への移行が完了したら、正確なデータ取得やスムーズな運用のために初期設定を行うことが大切です。
このタイミングでしっかりと設定を済ませておくことで、後々の分析やレポート作成がスムーズになります。
ここからは、GA4移行後に必ずやっておきたい運用初期設定について解説します。
ユーザーや権限の管理
まず取り組みたいのが、ユーザーごとの権限管理です。
複数のメンバーでGA4プロパティを運用する場合、必要な権限を持ったユーザーのみが操作・閲覧できるように設定しましょう。
これにより、データの安全性や操作ミス防止につながります。
- 管理画面から「アクセス管理」を選択する
- ユーザーごとに「閲覧者」「編集者」など役割に応じた権限を付与する
- 不要になったユーザーは削除し、不要な権限は外す
管理者権限を持つ人を必要最低限に絞るのもポイントです。
データ保持期間の延長設定
GA4では、ユーザーデータやイベントデータの保持期間がデフォルトで2か月となっています。
長期間にわたり詳細な分析を行うためには、この保持期間を14か月に延長する設定が推奨されます。
| データ種類 | デフォルト保持期間 | 延長後の最大期間 |
|---|---|---|
| イベントデータ | 2か月 | 14か月 |
| ユーザーデータ | 2か月 | 14か月 |
設定の変更は「データ設定」から「データ保持」メニューで行えます。
ビジネス分析やトレンド把握に役立つので、最初に見直しておきましょう。
関係者のIP除外設定
自社スタッフや制作会社のアクセスも計測してしまうと、実際のユーザー行動と混在してしまい正確な分析ができません。
そのため、関係者のIPアドレスを除外設定することが重要です。
設定方法は、管理画面の「データストリーム」から「タグ設定」を選択し、「IPアドレスによるフィルタ」を利用します。
複数拠点がある場合は、それぞれのIPアドレスをリスト化してすべて登録しておきましょう。
IPアドレスが変更になる可能性もあるので、定期的な見直しも必要です。
Googleシグナル有効化
Googleシグナルを有効化することで、ユーザーが複数端末でアクセスした場合でも同一ユーザーとして把握しやすくなります。
また、リマーケティングやオーディエンス分析の精度向上にもつながります。
Googleシグナルの有効化は、「管理」>「データ設定」>「データ収集」から設定可能です。
ただし、ユーザーのプライバシーにも配慮しながら運用することが大切です。
GA4移行で発生しやすいトラブルとその対策
GA4への移行作業では、従来のユニバーサルアナリティクスと仕様が大きく異なるため、思いもよらぬトラブルが起きやすいです。
ここでは、よく発生する問題点とその対策方法について整理します。
意図しない計測漏れ
移行直後に気づきやすいのが、GA4で想定していたデータが一部計測できていないトラブルです。
これは、タグ設定やトリガーの設定ミス、またはウェブサイトのキャッシュが原因となる場合が多いです。
GA4では従来よりもイベントベースでの計測が主流となり、各種アクションを正しく記録するためにはタグの再確認が必須です。
- サイトの全ページにGA4用タグが正しく配置されているかチェックする
- Googleタグマネージャーを活用し、イベント発火の条件を複数端末・ブラウザでテストする
- リアルタイムレポートを参照し、適切にデータが計測されているか確認する
これらの対策を徹底すれば、意図しない計測漏れを防止できます。
イベント計測設定ミス
GA4では「イベント」の設計がユニバーサルアナリティクスと異なるため、移行時に設定ミスが発生しやすくなります。
例えばイベント名のスペルミスやパラメータの不足、イベント発火条件の誤設定などがよく見られます。
これらのミスを防ぐためには、念入りな設計・管理が重要です。
| 主なミス | 対策 |
|---|---|
| イベント名の誤記 | 事前にガイドラインを定め、一貫したネーミングルールを適用する |
| パラメータの漏れ | 設計段階で必要なパラメータを書き出し、設定後にチェックリストで確認する |
| 条件設定の誤り | テストモードを利用し、実際の動作をシミュレーションして確認する |
設定後には必ずリアルタイムレポートやデバッグビューで、イベントが適切にトラッキングされているか確認しましょう。
レポート項目の非表示
GA4のレポートでは、標準で表示される項目が大幅に少なくなっているため、今まで見えていたデータが急に見えなくなることがあります。
必要な指標やディメンションが表示されていない場合は、探索レポート機能やカスタムディメンションの活用が必須です。
また、レポートに表示したい項目が集計されていない場合、該当イベントやパラメータが計測対象となっているか、プロパティ設定を見直してください。
カスタムレポートの作成に慣れることで、必要なデータを柔軟に取得できるようになります。
トラッキングIDの混乱
GA4とユニバーサルアナリティクスでは、トラッキングIDのフォーマットや管理方法が異なるため、移行時に誤って古いIDを使い続けてしまうケースがよく見受けられます。
GA4のIDは「G-」で始まる形式へ変更されています。
ユニバーサルアナリティクスの「UA-」で始まるIDを間違えて設定しないよう注意が必要です。
サイト内にどちらのコードが設置されているかを再確認し、GA4専用のIDに差し替えることが大切です。
また、Googleタグマネージャー利用時は変数やタグの設定もすべてGA4対応かチェックしましょう。
GA4移行に関するよくある質問と悩み
GA4への移行は多くのサイト運営者やマーケターにとって大きな変化となっています。
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)との違いや、移行時の作業、データ管理の方法など、さまざまな疑問や不安を感じている方も少なくありません。
ここでは、GA4移行について寄せられる代表的な質問や悩みを取り上げ、それぞれのポイントについて解説します。
UAとGA4の併用は可能か
GA4への移行を決断しても、すぐにUAの計測を完全に停止する必要はありません。
現状ではUAとGA4を同時に導入して、データ収集を並行して行うことができます。
この併用期間にGA4の設定や専用のレポート作成を進めておくことで、スムーズな運用移行が行えます。
- 現時点ではUAのサポート終了が発表されていますが、既存データの保存やバックアップ作業のためにも併用期間を設けるのがおすすめです。
- UAとGA4では計測仕様が異なるため、両者を比較しながら違いを確認できるメリットもあります。
- 併用の際はイベント設定や目標設定などがズレていないか確認しましょう。
GA4に移行した後の旧データの扱い
GA4へ移行した後、UAのデータは自動的にGA4に引き継がれるわけではありません。
そのため、旧データの保存方法について不安に感じる方も多いでしょう。
UAのデータについては、自分でエクスポートやバックアップの対応が必要となります。
| データの種類 | 保存方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| レポートデータ | CSVやPDFでダウンロード | 詳細な設定ごとは個別に保存 |
| サンプル分析データ | Googleシート転送など | 件数の上限に要注意 |
| 長期保存が必要なデータ | BigQueryへのエクスポート | 技術的な知識が必要 |
UAのサービス終了後は管理画面にアクセスできなくなるため、早めに必要なデータの保存を行うことが重要です。
複数サイトやアプリの同時移行対応
複数のWebサイトやアプリを運用している場合、GA4への一斉移行は手間や混乱が発生しやすいポイントです。
移行スケジュールや責任者の明確化、テスト計測の実施など、各プロジェクトで管理表を作成することが効率的な進行につながります。
また、GA4では一つのプロパティでWebサイトとアプリの統合計測ができる特徴があります。
それぞれのサイトやアプリの仕様に合わせて、必要なイベント設定やコンバージョン計測が正しく行われているか事前にチェックすることも大切です。
GA4移行のやることをスムーズに進めるためのポイント
ここまでGA4移行のステップや注意点について解説してきました。
最後に、GA4への移行をスムーズに進めるためのコツをまとめます。
GA4移行では、早めの準備と計画的な対応がトラブル回避のポイントです。
現行のUAデータとの違いをしっかりと理解し、必要な計測設定やデータ連携を見落とさず行っていきましょう。
また、一度の移行ですべてを完璧に仕上げる必要はありません。
GA4の仕様はアップデートが続いているため、導入後も定期的に見直しを行うことが大切です。
作業中に不明点が出た場合は公式サポートやヘルプガイドを活用し、一人で悩まず進めるように心がけましょう。
移行作業を振り返り、今後のWebサイト運用やデータ活用の方針を整理する良い機会と捉えて、前向きに取り組んでください。


